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【漫画感想】『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」ほのかの”変身”と海斗の純粋すぎる”願い”。

2021年1月6日 - グレイプニル
【漫画感想】『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」ほのかの”変身”と海斗の純粋すぎる”願い”。

『グレイプニル』最新刊情報

【あらすじ】忘れちゃいけなかったーー ここまで来た理由をーー エレナの危機に駆けつけた修一は、ほのかという巨大な闇に戦いを挑む。修一はなぜこの刀を選び、なぜこの場所に立っているのか。失われた記憶の中で、かつての修一が見つけた「希望」とは!? 世界の運命は修一とクレアに託された。合体変身バトルは、ついに終着点へ!!

『グレイプニル』第61話 レビュー感想



『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」 あらすじ

『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」のあらすじです。

まずは第61話「願い、苦しむ。」のあらすじをなるべく核心部分は伏せるようにしてざっくり説明しましょう。感想と考察(?)については後ほど…。

【簡単あらすじ解説】

『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」より

宇宙船の墜落場所で…。”あなた達はただただコインを守っているだけ それって楽しい?” 海斗に支配され死ぬことも許されず従わされる能力者たちに、ほのかは問いかけます。そして、自分と戦って勝てたら”消してあげる”と能力者に提案します。挑んでくるものがいなくなったところで、ほのかは海斗に”私はだれ?”と問いかけます。しかし、あくまで”お前はお前だ”と”お前がやりたいようにすればいい”と、下を向いたまま答える海斗。そんな海斗にほのかは 修一と出会ったことを告げ、もう一度問いかけるのでした。 “あなたは どうするの?”

さて、今回は海斗&ほのか側のエピソードでした。自分の存在意義を問い(求め)続けるほのかと、海斗の身勝手だけれど純粋な願い、印象的でしたね。そして修一が再び向かってくることを知って海斗もまた…。

それでも”物語の主人公”はその”結末”を知っている…。

では、『グレイプニル』第61話「願い、苦しむ。」レビュー感想です。

*第61話「願い、苦しむ。」 は『グレイプニル』単行本第10巻に収録されているエピソードです。

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『グレイプニル』 感想&見所

ほのかの変身。アイデンティティの模索。

今回は…というより『グレイプニル』全般に言えることですが、本当に”印象的”としかいえないような描写、話の展開が素晴らしくて…。特に多くを語らない海斗とほのか側のエピソードではそれがかなり顕著に感じられるように思います。

今回、ビジュアル要素も含めてですが、個人的に最も印象的だったのはほのかの”変身”ですね。バトル漫画で変身とか戦闘体型とかが出てくると、それだけで気持ちが高揚するものですが、今回はその”変身”自体もいいんですよね。

というのも、ほのかの変身は修一と吉岡の”二段階目”にインスパイアを得たものなんですよ。この作品はそれぞれの人物の背景が色々と絡み合っているので、そういう部分を考えて、一人で勝手に盛り上がってます(笑)

“二段階目”にインスパイアされたほのかの変身

そもそも ほのかは登場時点からずっと、自分が”何者なのかなぜ存在するのか”という疑問(わだかまり)を抱え続けていますからね。この変身もまた、他者を真似し自分に取り入れることで”アイデンティティ”を模索しているのかな、なんて思ってみたり…。

なんにしても、これは厄介ですね。思惑はどうあれ 今までいわば形なくただただ溢れ出ていたデタラメな力を、攻撃に特化させる術を身につけてしまったわけですからね。ただでさえ圧倒的だったほのかがさらに強くなるとなると…なぁ。海斗も真の力を取り戻してしまいましたし…。

ちなみに不死者の中でも自分の形をとどめている(?)実力者風の何人かはほのかに挑みませんでしたが、十字架のお姉さんだけはなんとなく海斗の能力からの”解放”を望んでいる感じでしたね。もしかしてその辺りが修一たちの活路になったりするのかな?

自身の存在意義を問うほのか。

さっきも書きましたが、ほのかは自身の存在、そしてその意義を問い続けていますよね。不死者たちをけしかけて自分と戦わせたのも、強者と戦うことで自分の存在になんらかの”実感”を得たいがためだったのかもしれないですね。

自分が誰なのかということに”実感”が持てないのが彼女の根幹にある問題で、その理由は今の彼女の存在を支える肉体に”ほのかの部分”がほんのわずかにしか入っていないことらしいです。

“ほんの数本の髪の毛と小さな骨のカケラだけ”。海斗の口からも語られていたことですが、今回のように改めて説明されると、確かにその存在の中の”ほのか”はあまりにも希薄ですね。

自分の存在を海斗に問うほのか

個人的にはここで思い出されるのは、修一達と戦ったツインテールの蛇不死者なのですが、彼女もまた海斗の力で作りかえられ、”私の真似をしたただの蟲だ”と言っていました。

“アイデンティティ”、つまり自己同一性ですが、本当に難しいテーマを扱うよなぁ。個人的には自己同一性とは自己の意識の連続性と他者からの承認によって成り立つものだと思っていますが、もちろんそれは生き返りやら再生やらのない現実世界の話です。海斗の能力ではそれらの非現実が実現されてしまいますからねェ。

蛇不死者の場合は生前の記憶も人格も持ったままな訳ですから”意識の連続性”は保たれています(一度切れてますが)し、外見もそのままなので”他者の承認”もあると言える状況ですが、それでも蟲によって作り変えられた体を本人はもはや”自分ではない”と考えています。

『グレイプニル』単行本 第7巻より

人は誰しも数ヶ月ほどの期間で細胞から何から何まで作り代わり、数ヶ月前と現在では身体の全てが異なる存在であるというのは、SF漫画ではよく出てくる話ですが…。まあそれは今は置いておきましょうか。

ただ、そうなるとコインの能力で変身した身体はどうなんだろうなぁ、とかも思ってしまうのですよね。少なくとも能力者は誰も能力を手に入れる前後の自己同一性に疑問を持ってはいませんからね。

ほのかの場合はさらにもう少し話しが違うんですけどね。この辺り難しすぎますね。ほのかのセリフ”そうなの? 私はてっきり あなたが私を作ったのを後悔してると思ってたわ”からすると、ある意味では”他者からの承認”も受けていなかったとも言えるかもしれませんね。

ほのかのそのセリフの直後の二人の表情も印象的でしたね。上記の画像と同じ構図の海斗とほのかの微妙な表情の変化がね、ほんとに印象的。あの二人の表情でようやくこの二人の関係性も好きになれそうです。

海斗の本気の力…。

そしてもう一つ。ずっと、落胆したような無気力のような打ちひしがれたような、そんな悲壮感に満ちたうつむき顔を上げることのなかった海斗に変化が起きましたね。

それにしても、修一たちを生かして帰した海斗が、再び修一が向かってくることに対し、喜びを含んだかのような、ワクワクしたような表情を浮かべたのは何故なのか…。エレナの言っていた”海斗は修一を傷つけられない”という発言も回収されていないし、海斗の真意は謎のままです。

そして前回の戦いの際にはほのかと修一たちを接触させないようにしていたにもかかわらず、ほのかが接触しに行ったことにも特に反応することもないというのもどういうことなのか。

修一が再び挑んでくることを知り海斗に変化が…

この辺りは色々と未回収の謎が多いところですね。そもそも二度目の交戦の際は一度交戦しているのにもかかわらず、修一の能力が初見かのような反応をしたり、強さを測ってみたり、ほのかと接触させないようにしたり…と謎の行動をしています。ほのかの件はむしろ一度交戦しているからこそ、一触即発を避けるためとは考えられますが、修一の能力や強さに関しては、身を以て体験しているはず…。

前回生かして帰したのは修一が記憶を失っていたからなのかもしれませんが、そうだとするとそもそもは殺すつもりだったということになりますよね??それだと”修一を傷つけられない”ことと矛盾するんですよね。

一応、”謝りたかった内容”というのは、前々号あたりで明らかになったほのかの復活の際に”修一の両親を使った”ということみたいですが…。それについても一度目の交戦時に謝らなかった理由がわからないし、もしかして海斗は一度目の戦いの記憶を失ってる??(あるいは作者のストーリー進行の関係で生じた矛盾??)

まあ、わからないことは明らかになるまで待つとして、今回はさらに海斗の持つ真の力も明らかになりました。

海斗の本気の力

修一の記憶の中でエレナとの”二段階目”で圧倒することができていたので、クレアとの”二段階目”を習得した今、あとはほのかだけなんとかすれば良いと少しだけではあるものの光明が見えてきたかと思っていましたが…。

まさか海斗も真の力を出していなかったとはね(厳密にはあの時点での本気ではあったらしいですが)。やはりコイン100枚と1枚とでは能力の差は気持ちだけで埋めることができない次元のものなのでしょうか。

正直、これでは修一とクレアだけの手に負える相手ではありません。とは言え吉岡の命のタイムリミットも迫っていますから…。そろそろエレナや直人の勢力と接触する感じでしょうかね。

海斗の純粋な願い。

これまでほのかと海斗の関係性は好きになれずにいた(それぞれのキャラは好きにもかかわらず)のですが、今回ほのかに対して語られた海斗の”願い”とそれを聞いたほのかの反応で、ようやく二人の関係が好きになれた気がします。

とにかく海斗は純粋すぎる面があるんですね。自分の周りがどうなろうが、ほのか自身がどうなろうが、それでもほのかに生きていて欲しかった、というある意味”究極のエゴ”ですよね。(つまり、現状でほのかの行動に干渉しないのも ほのかへの罪滅ぼしでもなんでもないわけです)

ただ、その”生きていて欲しい”という気持ちだけは純粋で真っ直ぐなものです。今回、その想いを直接聞いた ほのかの心にも届いた(心があるかはわかりませんが)のではないかと思わせる表情の変化が印象的でした。

生きていて欲しいということだけだった

少なくともこの後、ほのかが見せた笑顔はこれまでの悲壮感や虚無感をたたえた笑顔とは違うもののように見えました。身勝手の先に世界の消滅への道を歩む二人。ただ、同時に海斗はその結末を知っています。

“だから俺は最後にお前に負けるんだ”

この海斗の二面性が読んでいて、その真意を追うことを困難にしていることなのですが、個人的には彼には二種類の”願い”があるのかなと想像しています。コインの能力者は”人を超えた存在”と”人”の2つの顔を持っていて(“変身”という概念がそれを内包していると思うのですが…)、そのどちらの顔も本人なんですよね。

最後はお前に負けるんだ

そこからこじつけて、海斗は人を超えたものに願う願いと、人に願う願いの二つを持っているのかなぁ、なんて妄想しています。”ほのかに生きていて欲しい”というのが人を超えたものに願う願いで、そんな自分を人として止めて欲しいというのが人(修一)に願う願い、で そのどちらの願いも嘘のない心の底からの願いなのではないかなと。

最後の独白で海斗が修一に対して”人のためなら凄い力を出せる”と言っていたのもちょっと気になっているところです。普通に考えれば修一の周りの人物であったり、世界の人々であったりと解釈するところですが、なんとなく(なんの確証もありませんが)海斗自身も含まれているのではないかと思ってしまうんですよね。そう考えると、やはり海斗は修一に救済を求めているのではないかと感じるんですよね。

それにしてもアオリは担当さんが入れるというのを聞いたことがありますが、『グレイプニル』の担当さんはなかなかの実力者なんですね。作品の空気感を崩さない印象的なアオリがとてもいい。

ということで、今回は妄想だらけの感想となりましたが、この辺りで。

*第61話「願い、苦しむ。」 は『グレイプニル』単行本第10巻に収録されているエピソードです。

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