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『恋する寄生虫』三秋縋/ホタテユウキ
『恋する寄生虫』 レビューリンク など
『恋する寄生虫』第10話 感想・考察
『恋する寄生虫』第10話感想です。
今回は、なんというか衝撃的な展開でしたね。
いや、予想はできていた…というか、そういう雰囲気は匂わされていましたがまさかこんなことになるとは…。。
それにしても、やっぱりこの絵柄好きだなぁ。
なんというか今回のラストとか、絵柄の儚さと相まって個人的にはすごく余韻というかなんというか…、そんな感じのものを感じました。
それでは『恋する寄生虫』第10話のネタバレ/画バレ感想です。
未読の方はご注意ください。
投薬治療とひじりの経過。
投薬治療は順調に進んでいるようですが…。
自分と高坂を引き離した祖父瓜実には心を閉ざしているようです。
高坂への想いもまた色濃く残っているようです。
むしろ以前よりも一層強くなっているようにも見えますね?

瓜実の高坂への説明では、駆虫薬を一か月ほど連用した後に休薬期間を半月ほどおき、これを繰り返すことで三か月から半年ほどで<虫>が死滅するということでした。
長谷川夫婦の場合は治療の過程で人嫌いが改善し、それとともにお互いへの気持ちも冷めていったはず。
しかし、ひじりは高坂を想って、胸を強く強く握りしめます。その際の背景がなんとなくおどろおどろしげで思わせぶりなのですが…。
少なくともひじりの中で高坂への感情はより一層増大しているように見えます。
後述の先生の件もありますが、ひじりの場合は長谷川夫妻のそれと全く反対の状況のように思えますね。
実際、第1巻の番外編でも描かれていたように、ひじりと高坂は二人でいることで投薬治療を行う以前から人嫌いが改善していましたし…。
担任の先生のお見舞い。人への恐怖
ひじりの元に担任の先生がお見舞いに訪れます。
普通に良い先生なんですが、まだ新任なのかな?
ちょっと押し付けがましい部分もある印象です(笑)
気持ちがわかるとか、一緒に頑張ろうとか、精一杯ひじりを励ますのですが…

ひじりは恐怖で萎縮します。
ただなんというか、ちょっと怖がりすぎじゃないですかね?
高坂や和泉など比較的親しい人間以外との交流については、作中であまり描かれていなかったのでよくはわかりませんけど…。
ここまで怖がっていましたっけ?
この先生との間に何かあったのでしょうか?それとも寄生虫の影響による視線恐怖症が進んでしまったのかな?
もしかして、瓜実を無視していたのも視線恐怖症が進んだせいとか??
“そうなれなかった何か”ですよ
先生が話しかけている間ひじりの恐怖はどんどんと強まっていきます。
先生がひじりのピアスに気がついて手で触れようとすると、ひじりの恐怖は頂点に達します。
この時点で、ひじりの瞳には恐怖で涙がたまっています。
ひじりの様子に気がつかない先生も先生ですけどね…。
先生の手がひじりのピアスに触れそうになったその時、先生の手止めるようにもう一つの手が差し出されます。

その手の主は、ひじりの同級生の鷹雄という少女です。
先生を病室から連れ出した際に、鷹雄は先生から”いつ友達になったの?”と聞かれますが…
“いや私は… “そうなれなかった何か”ですよ”
ひじりのピアスについては作中で度々強調されていますので、物語の鍵になるのだろうとは思いますが、どう言ったものなのかは現状まだ明かされていません。
ひじりにとって特別なものであることは確かなのでしょうが…??
鷹雄とひじり。
ひじりの病室に尋ねてきた鷹雄という少女は、実は高坂の何人か前の<適任者>候補だったらしいです。
ただひじりと鷹雄、二人の会話からすると、当時の関係は良好とは言いがたいものだったようです。
鷹雄が訪ねてきた理由はひじりに借りていた本を読み終わったからだと言いますが…
鷹雄は教室で先生が別の学生に放課後どこかに行く用事があると話すのを聞いていたので、先生がひじりのお見舞いに行くことを見越して様子を見に来たのかもしれませんね。…考えすぎか…。
鷹雄が借りていたという本は『余禄と補遺』。ショウペンハウアーですね。
へ〜、こんな本出てたんだ。
物語とは全然関係ないけどショウペンハウアーの補遺は主著『意志と表象としての世界』以上に(?)興味深い、というか面白いですからね。

第1巻の番外編でもショウペンハウアーの話をしていましたし、ひじりはショウペンハウアーの思想にだいぶ傾倒しているようですね。
ちなみにショウペンハウアーの文章は比較的簡易ではありますが、高校生にはそれなりに難易度が高いものでしょう。実際、鷹雄もわからなかったと言っていますし…。
それでも、ちゃんと読み切るということはしっかりとひじりに向き合ってみた…ということなんでしょうね。
ひじりも鷹雄にはそれなりに普通に話ができているのですよね。先生には怯え続けていたのに。
用事が済んだ鷹雄は帰り際に(おそらく彼女なりの心配の表れなのでしょう)、足を止めてひじりに一言…
“今のあんた 最初会った頃よりひどい顔してるよ あの世に片足突っ込んでる感じ”
“最初で最期のお願い”
ひじりは鷹雄にしか頼めないと”最初で最期のお願い”をします。
本をぎゅっと握りしめながら、鷹雄の目をじっと見て頼むひじりの姿に鷹雄は”最初で最期のお願い”を聞くことにします。
あのひじりが人の目をじっと見るくらいですから、よほどのことでしょう。
その内容は明かされませんが…
ひじりが欲しいものを書いた紙を見た鷹雄の反応と…
最後のページに描かれた大量の睡眠薬のカラと床に倒れるひじりの姿…

しかも”最期のお願い”って言ってたもんなぁ。”最後”じゃなくて”最期”って。
これはやはりひじりが自殺を図ったということなのでしょうか??
なんという急展開…というほど意外ではありませんが果たしてどうなるのか。
鷹雄に”お願い”した時に、『余禄と補遺』を強く握りしめていたのもなんだか思わせ振りですよね…。
あまりしっかりは覚えていませんが、たしかショウペンハウアーは自殺を否定はしないという立場を取っていたはずです。
ただ、自殺したところで目的(苦しみからの解放)の達成はできないので、無意味である…といった感じのことを『自殺について』の中では書いていたのではなかったかな…。
でも、逆に言えば苦しみから解放されることが目的でないのならば、自殺はしてもいいということになります。
ええ〜、どうなるのこれ?さすがに死にはしないですよね、ひじり。
それはそうと、冒頭でも書きましたが、この最後のコマ(及び最後のページ全体)の雰囲気がものすごく好きなんだけれど誰かわかってくれる人いるかなぁ。
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『恋する寄生虫』レビュー記事
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