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『もののがたり』九十四話【撥雲 ハツウン】感想:唐傘禍津日は神なのか??婚礼調度推参!!

2023年1月1日 - もののがたり
『もののがたり』九十四話【撥雲 ハツウン】感想:唐傘禍津日は神なのか??婚礼調度推参!!

『もののがたり』最新刊情報

『もののがたり』第15巻

**2023年1月19日発売**
【あらすじ】常世と現世を繋ぐもの――“付喪神”。付喪神に奪われた青年・兵馬と付喪神を愛する少女・ぼたん。絆を深める二人の縁を引き裂くのは常世の奥底に生まれし存在“藁座廻”。門守の符術“鬼来迎”により召喚された、雅楽寮と八衢黒檀、そして挂の活躍により唐傘勢力を撃破していく塞眼たち。そして、婚礼調度は因縁の敵・時雨との最後の戦いを開始する――!! 絆と恋の付喪ノ語り、激闘必至の第十五巻。


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『もののがたり』九十四話【撥雲 ハツウン】あらすじ&見どころ紹介

第九十四話【撥雲 ハツウン】あらすじ

「乱れ開闔」を”閉じ返”し、最大の奥の手「生大刀・魔反」をもって唐傘 天日に大ダメージを与えた兵馬。その一撃を受けて隼人の器を失った”天日”は、ついに始まりの唐傘”禍津日/岐殺”としての真の姿を現す。互いに大きく消耗し後がない両者の最終戦。”禍津日”は鼓吹と隼人の最期を語り、兵馬の精神を揺さぶりにかかる。怒りに我を忘れ、感情のままに2度目の「魔反」を放ちかける兵馬だったが…。さらに、”禍津日”は現人神の”天恵”により、更なる力を手に入れる…。一方、時雨を討ち祓った”婚礼調度”もまた最後の戦いの場に辿り着く。
“私達も誓いを果たしましょう “悪神”唐傘 主との盟約により 貴方を祓います”

今回の見どころ

真の姿を現した”始まりの唐傘”禍津日。そのおどろおどろしい存在感と禍々しい迫力が凄い!さらにここに来てついに禍津日の”天恵”も発動! 兵馬との最終戦が熱い!! そして、ぼたんの現状も少し仄めかされる!??

『もののがたり』第九十四話【撥雲 ハツウン】は『ウルトラジャンプ』2023年1月号に掲載。

『もののがたり』九十四話【撥雲 ハツウン】感想

始まりの唐傘 岐殺/禍津日

兵馬の奥の手 二対構え「魔反」を受けて、天日と陽炎は隼人と鼓吹の器を失い、始まりの唐傘”禍津日”としての姿を現しました。日本神話において”穢れ”から生まれたとされる神”禍津日神”の名を持つだけあって、天日、陽炎の時よりも、そして他の藁座廻たちと比べても圧倒的なおどろおどろしさと禍々しさを放っていますね。

“僕”を一人称に、語尾には”〜よね” “~だよ””~てさ”などを使った全体的に子供っぽい印象の話し方とその邪悪な見た目との相容れない違和感がどうにも居心地の悪さを演出するようで、それが”悪神”らしさ際立たせている感じ。

ところで、個人的に未だによくわかっていないのが、禍津日と天日、陽炎の関係性なのだけれど…。隼人と鼓吹の体、そのどちらをも禍津日が使っていたということは確定として、さらに禍津日が一体で使っていたにも関わらず、天日、陽炎各々に独自の意識があったのは隼人、鼓吹の記憶と禍津日の意識が融合でもしたのだろうと推測(禍津日と天日の話し方が全く別物だし…)できる。

では、そもそも”禍津日”という本来の名前を使っていなかったのは、天日と陽炎の二体に分かれ(?)たからなのだろうか?そして、天日、陽炎の持っていた能力はもともと禍津日の持つ能力なのだろうか?それとも隼人、鼓吹の肉体を奪ったことによって後天的に発言した能力なのだろうか?…色々と疑問が湧く。

そもそも”禍津日”が本来の名前だとすると、他の3体の藁座廻との立ち位置、力関係はどうなるのだろうか。藁座廻の中で、一体だけ名前が異質すぎる。名前や能力から見ると、天日、陽炎がそれぞれ1体で他の3体と同格だと考えられるのだけれど…。その2体がそもそも”禍津日”という1体の唐傘だったというなら、禍津日は1体で藁座廻2体分以上の力を持つということなのだから、他の3体とは別格と言わざるを得ないですよね。

以前、黒檀が吹雪と戦った際に”俺の中にいるのはお前たちから絞り出された穢れであり 所詮は”唐傘もどき”だが”と話している事があったのだけれど、これはつまり藁座廻がより低位の唐傘を生み出したということだよね…。そう考えると藁座廻たちもまた元を辿ると一つのオリジナル(禍津日)から生み出されたという可能性もあるのでは..なんて考えてしまうのだけれど。

例えば、禍津日が全ての唐傘のオリジナルで、禍津日が天日、陽炎、時雨、吹雪、凩という特別な能力を持つ5体の”藁座廻”を生み出したという構図だとすると、なかなかに座りの良い話になる…と思う。その上で、禍津日が人の器を奪い、使うことで唐傘本来の特性以上の”天候を纏う”能力を得るなんていうような設定があれば、さらにスッキリとしてくる(そうならば天日、陽炎が別々の能力を持っているのも納得しやすい)。

まあ、作中のキャラクターたちの反応からして、他の3体も天日、陽炎同様に塞眼の死体を使っていたなんてことはないのだろうけど…。それに以前の感想で書いた通り、そもそも天日と陽炎の能力は藁座廻の中にあって異質であるわけで(他の3体は”悪天”を纏う)…。う〜む、このあたりのことはこの先明かされるのかどうかもわからないけれど、個人的には気になる部分。

ともかく、始まりの唐傘ということで、”禍津日”という名こそが唐傘の最も本質に近い名前であることは確かなのだろうな、というのが今の所の理解です。もしかすると、唐傘という器に宿った”マレビト”の名前ということだったりするのかもしれない。

“禍津日”は神なのか? その能力と天恵は??

上記の通り、禍津日神というのは日本神話に登場する”穢れ”の神である。そうなると、個人的に気になってくるのは唐傘 禍津日が神なのではないか、ということ。

以前の感想でも書いたのだけれど、そもそも折口信夫の言うところの”まれびと”という存在は”神”そのものなので、その定義に則れば『もののがたり』において器と結びつき付喪神となる”マレビト”が神であっても問題はない。

ただ今回、禍津日もまた現人神の天恵を受けたわけですね。付喪神の主人たる現人神の天恵を受けたという事は、あくまで禍津日も”付喪神”という枠内の存在であるということを意味します。加えて、以前の時雨の発言からあくまで現人神だけが”神”である事が示唆されているので、禍津日もまた”神”の名を関してはいるものの、”神”ではないのだろうな。

あるいは、唐傘に宿ったマレビト=禍津日神=神で、付喪神として器に結びついて現世に出た時点で神性が失われ、単なる付喪神となった…とか。名前が”禍津日”で、”禍津日神”の”神”が落ちているのがもしかするとそれを暗に示しているのだたりして…。考えすぎかな。

この辺りは以前の感想でも少し書いた”現人神が何故、現人神たるのか?”という疑問とも関わってくる話なんですよね。”結びつく器が物か人か”ということが本質なのか、”呼応したマレビト自身の格”が本質なのか、ということ(詳しくは以前の感想記事をどうぞ)。

今回の禍津日の件で、そもそも”マレビト”が常世に漂う霊的なものだけでなく、いわゆる神話に登場するような”名のある神”をも含むであるというのなら、後者の可能性も出てくる。つまり、ぼたんと結びつき、現人神となった”マレビト”はそもそも”神”の中でも特に高位の”神”なのではないかと…。まあ、彼女が消滅してしまった今、その辺りも妄想を膨らませる以外ないかな。

ところで、もう少しストリーに準拠したところでは、禍津日の固有の能力が気になりますね。これまで藁座廻たちはその名に関連する”悪天を纏う”戦い方をするとされてきましたが、当然ながら禍津日の名は他の藁座廻、天日、陽炎、時雨、吹雪、凩とは異なり天候を由来する名ではない。実際、今の所 兵馬との戦いでそういった特殊能力は使われていません。

詳しくはこちら>>唐傘”藁座廻”。現人神の従者にして より常世の深きから現れ出た穢れ。

そもそも名前が戦い方/能力を表すのだとすると(*このルールが禍津日にも当てはまるかは不明)、禍津日神というのは穢れから生まれた神であり、禍津日という名は”災厄の心霊”という意味です。そうなると、その力は”穢れを撒き散らし災いを成す”といった感じになると思うのだけれど…。そもそも”常世の穢れを現世に放つ”ことは神しかできない御業とのこと。ならばただの付喪神である禍津日がそのような能力を持ってはいないはずで、そうするとそもそも唐傘の本来的(物理的?)な能力しか持たないということになるのだろうか?

実際のところ”穢れを撒き散らし災いを成す”事が禍津日の能力だった場合、禍津日は現人神の天恵で何を得るものがないことになってしまうのか…。あるいは単純に強化されるだけ?実際、他の藁座廻たちとは異なり禍津日は天恵を受けて異形に変形したわけだから、天恵によって穢れが強化され、それによって本体も強化されたと考えるのが妥当なのかな。

とりあえず、次話以降どんな能力を見せるのか楽しみです。

現人神とぼたん の現状は??

さて、一方で長らく不明だったぼたんの現状について新情報が語られました。これまで状況の進展具合や、時雨の発言、そして現人神(本来の)の消滅など、ぼたんの魂の消息について絶望的な情報ばかりで、もはや兵馬達は間に合わないのではないかとハラハラしながら読んでいたわけですが…

禍津日が天恵を受ける際に現人神に語りかけた発言から、兵馬は未だ現人神の存在は完成していないこと、つまりぼたんがまだ一人抗いつづけていることを確信したわけです。とりあえず、まだぼたんが無事(無事といえるかはわからないが)ということで少し安心。

それにしても、諸々から推測される作中経過時間を考えると、ぼたんは天日らの想定を遥かに超えて長く抗い続けていることになる。八衢の引手の力が削られているとは言えね。常世の闇の中で精神を削ぎ落とされていく孤独の中で偏に兵馬を信じ戦い続ける健気さよ…。

いくら現人神の憑座として、人間、付喪神両方からの様々な思惑に晒され普通ではない日常を送り続けてきたとはいえ、ぼたんは兵馬たち塞眼のような戦士ではないし、特別な精神訓練を受けてきたわけでもない極々普通の女の子な訳だから、耐え続けているということがどれほどのことか…。兵馬に対する信頼、愛情の真っ直ぐさが眩しすぎる。

ただ気になるのは、”本来の現人神”はすでに唐傘によって消されてしまっているということ。つまり、ぼたんの意識はその肉体から剥がされてしまっているということ。そして今回、ついに婚礼調度が兵馬の戦場に追いついたわけですが、現人神が最後の力を使って婚礼調度に天恵を与えてから、さらに ある程度の時間が経ってしまっているはず…。

果たしてぼたんどういう状況にいるのだろうか。そもそも本当に無事なのか…。現状はぼたんの意識の残滓がかろうじて残っていて、それが現人神の完全化を送らせているだけの状態なのではないのだろうか。そして、一度剥がれてしまった意識を兵馬たちだけの力で再び肉体に結びつけることは可能なのだろうか…。

婚礼調度推参!!

それから、先ほども書きましたけど、ついに婚礼調度が兵馬と禍津日の戦いの場に追いついてきました。すでに限界が近い兵馬にとっては最高のタイミング。兵馬自身としては、一人で姉と兄の仇を取りたい気持ちもあるかもしれませんが、ぼたんを助けるのが今の兵馬にとっては最優先事項ですからね。

まあ、7対1という、戦隊モノもびっくりの人数比ですが、先ほどまで兵馬も2対1の戦いを強いられていたし、その上、禍津日は天恵使うという反則みたいなこともしたということで、今更その辺りはとやかく言いっこなし。

とりあえず、”本来の現人神”から天恵をもらった婚礼調度の加勢により、とりあえず天恵の分は五分と五分…。さらに、婚礼調度はまだ余力があると考えると、戦局は兵馬たちにだいぶ有利に傾いたといえるのかな。

あとは、現人神の進行具合が、両者に与えられた天恵の強さにどの程度影響を与えるか、というところだろうか。何にしても、泣いても笑っても最終戦です。現人神にもらった天恵だけでなく、自分達の存在を改めて知った婚礼調度が主たちのためにどのような力を見せるのか楽しみですね。

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