『パラレルパラダイス』最新刊情報
『パラレルパラダイス』最新巻
“世界でたった一人の男・陽太、絶世の美女騎士の揺れる心を掴めるか!? 累計350万部突破の異色異世界ファンタジー! 現実世界で金城に深く傷つけられた陽太は、ルーミと共に金城から逃げることを選ぶ。一方リーメアリーは、国母への忠誠心と疑念の間で揺れていた‥‥。白く輝く美女騎士の憂い。陽太は晴らすことができるのか!?”
『パラレルパラダイス』第218話「斬りたい背中」あらすじ紹介
・『パラレルパラダイス』第218話「斬りたい背中」あらすじ紹介
ヤールヤーの術中に落ち、理性を全て奪われたリーメアリーと、彼女の本心を聞き怒りに飲み込まれたヨータは殺し合いを始める。二人の間に剣が投げ入れられるが、リーメアリーはハンデと言ってヨータに剣を譲る。理性を奪われた上でのリーメアリーのその態度を見て、プライドでも強がりでもなく、彼女が本心から自分のことを舐めているのだとヨータはさらに激昂していく。しかし、気持ちとは裏腹にリーメアリーの圧倒的な力の前に、ヨータは全く歯が立たない。一方でリーメアリーはヨータには嫉妬深い神を殺すことも、この世界を救うこともできないと言い放ち、本気で殺しにかかるのだが…
・内容&見どころ
・まさかのリーメアリーが死亡!!?予想を裏切る結末とは??
・真に誇り高く高貴な騎士リーメアリーの最期とは…。
『パラレルパラダイス』第218話「斬りたい背中」は『ヤングマガジン』2023年13号に掲載されています。
『ヤングマガジン』
『パラレルパラダイス』第218話「斬りたい背中」感想
・本気の殺し合い!!?怒れる最強の騎士リーメアリー。
さて、ヤールヤーによって剣が投げ込まれ、ついに我を失った二人による “確実にどちらかが死に得る” 殺し合いが始まります。予想通り騎士であるリーメアリーはヨータに剣を譲ります。
このことでヨータはリーメアリーが本心から自分のことを舐めきっていると解釈し、さらにヨータの怒りに火を焚べることとなります。つまり現在のリーメアリーは理性というものがない状態なので、強がりやプライドなどの建前的なものが一切ない全て本心からの行動であるということになりますので、リーメアリーが本心から素手で剣を持ったヨータに勝てると考えている、と解釈したわけですね。実際はこの理屈は必ずしも真実ではなかった、というかリーメアリーには当てはまらなかったことがわかるのですが…
ただ、ヨータももはや怒りに理性を失ったような状態なので、ただただリーメアリーへの殺意が膨らんでいくだけ…。そしてヨータは本気でリーメアリーを殺そうとします。ここで一つ気になるのは、前話でヨータが見せた”黒化”が今回の話では見られなかったこと。あれは一体何だったのだろうか??
そして、こちらも前話の感想でも少し書きましたが…。
リーメアリーは果たして本当に理性を奪われているのだろうか…という疑惑。どことなく彼女自身のこれまでの言動と現在の術中に陥った彼女の言動との間に僅かな違和感が感じられました。そして、仮に術中に陥っていたとしても”あのリーメアリー”が簡単にヤールヤーの意のままにされるのだろうか…という疑問もあります。
それらに対する答えは今回明らかになりました。同時にヤールヤーがリーメアリーの理性を奪った際にとった反応についても理由が明らかになります。
少なくともリーメアリーの理性はヤールヤーの術により完全に奪われていたそう。しかし、ヤールヤー曰く、リーメアリーは”理性を失っても自分を失わない”つまらない女だったとのこと。つまり、リーメアリーはヤールヤーの術中にあって術中になかったといえます。そうです、彼女の言動は理性を失ったからでた本心ではなく、”ある目的”のために彼女が意図的に発したものだったのです。
これで、リーメアリーの言動の矛盾についても説明がつき、納得できました。
・高貴なる女騎士。リーメアリーの最期。
理性を失ってなお、自らの信念と使命のために、リーメアリーはその命を使います。彼女はヨータと会って、世界を救うために”あること”を自分の使命だと捉えるようになっていたのです。そして、今回 リーメアリーはヨータから”ある一言”を引き出すためだけに、自分が理性を失いヨータを殺そうとしているふりをして、自らの命を犠牲にしたのでした。リーメアリーは真に高貴で高潔な騎士だったわけですね。
そうなると、ヤールヤーにも言われていますが、とことんカッコ悪いのはヨータですね。はっきり言って リーメアリーと対等の立場で殺し合っているつもりで、二人が立っていた場所は全く違う次元だったわけです。ヨータがちっぽけなプライドと承認欲求(まあ、ヨータも命懸けなのでこれはしかたないけれど…)に囚われて怒りに飲まれている間に、リーメアリーが見ていたものは数段 上、そして先のことでした。
ヨータが発した”ある一言”を聞き、甘んじてヨータが振り下ろした剣をその身に受ける際に、リーメアリーは微笑みを浮かべます。
そもそもリーメアリーは強制的に理性を全て奪われたにもかかわらず、ヨータに希望を託すために自分の命を使ってこのような自己犠牲の行為を決行したのに対し、ヨータは理性を奪われてないのにもかかわらず 基本的には”何で俺を認めないんだ!!”と言う感情だけで、勝手に怒りで我を忘れリーメアリーを殺す決意(しかも、それも仁科に頼まれたと言うことで自己正当化までしている)をし、しかもそれを実行に移したのです。
人としてのものが違いすぎるよなぁ。果たして、ヨータにリーメアリーが命をかけた価値はあるのだろうか…。まあ、この尊い犠牲でヨータが少しでも救世主らしくなれば…。しかし、リーメアリーの死は惜しすぎる。ついこの間ナクタも死んでしまったばかりなのに…
ただ、個人的にはリーメアリーはここで死亡退場ということにはならないのではないかなと思っています。現状リーメアリーは精神世界で死んだだけです。前話にてサーニャはヤールヤーの術下で死ぬと、その精神は死に、その人物は現実世界では”人間の形をしているだけの抜け殻”になってしまうと説明していました。
つまり、肉体は死なないということ。正直、かなり絶望的ですが、わざわざ前話でサーニャにヤールヤーの術について解説させるパートを入れたくらいですから何かしら話にも利いてくるはず。それにリーメアリーがヤールヤーの精神世界に取り込まれる直前にモモが現れたあたりの話がまだ謎のまま…。
もしかすると、ヤールヤーを殺せば、リーメアリーもルーミの性欲で犠牲になったガーディアンの子も復活することができたりして….。一旦死亡したことで復活した際にリーメアリーにかけられた国母の呪いが解けるとかという展開もあるかも。
そうでなければヨータとルーミはそれぞれ、自分のエゴ、欲のために他人の命を犠牲にした…という取り返しがつかない罪の十字架を背負うことになりますしね。どうなるんだろうな〜、とりあえず、来週は休載とのこと。