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『プランダラ』著:水無月すう
『プランダラ』レビューリンク
センターカラー。第20話「ラブレター」感想。。
プランダラ、今月はセンターカラーです!
カラー絵は和気藹々と楽しげなものとなっていますが、本編はなかなかにシリアスな展開を見せています。
しかも今回は色々と新事実、それもかなり物語の核心の部分が明かされましたね。
「撃墜王」誕生の秘密について、そしてリヒトーの「後悔」について…などなど。
始まりの一人”「識撃」の撃墜王”
さて、まず今回明かされた最も大きな事実のうちの一つ。
ジェイルが出会った少女。彼女こそが過去のナナであり、そして最初の撃墜王。
タイムトラベルの能力を持ち、のちに「識撃」の撃墜王と呼ばれる存在です。
この能力で、敵の位置を「予言」していたようです。
ただ、彼女の能力は他の6人の「撃墜王」とは違い、回数制限があるのだと言います。
その理由をナナ自身は“ただの被験体”だからといっていますが…。
個人的には、やや違う理由があるのではないかと勘ぐっています。
ナナの「星のついたカウンター」は彼女の左頬についています。おそらく彼女自身の体がバロットとなっているのではないかいうことです。
もちろん、それも含めての実験なのかもしれませんけどね。人体をバロットにする…みたいな。
このことから、肉体的な意味でも回数に上限ができているのではないかなんて…。
ちなみに、この時ナナのバロットのカウンターは56を示していますが…
現在のナナのカウンターは7。
そして、戦争終結から20年経った時点では6でした。
そもそもリヒトーと園原に比べ、圧倒的に少ない値ですが、彼女のカウンターは一体何の値なのでしょう。
「魔法使い」と「撃墜王」
続いて彼女の口から「撃墜王」についての事実が明らかになりました。
そもそもの発端は、議会(アルシング)に遺伝子レベルで同期し、バロットを介さずに直接未知の力を引き出すことのできる人間が現れたことでした。
その人物こそが「シュメルマン」その人なわけですが、ナナは彼のことを「魔法使い」と言っています。
「魔法使い」というと、シュメルマンの絵本を思い出しますね。
第3巻で、子供達に『ウサギとカメ』の絵本を読んだ後、シュメルマンは自分で自分を「魔法使い」だと言っています。
やはり、絵本の「魔法使いの力」を与えられた「カメ」はリヒトーのことのようですね。
ともあれ、そのことを知った科学者たちが、シュメルマンの中の「議会」と同期するDNAを抽出し、他者へ移植することで「魔法使い」を増やそうと考えたのだそうです。
つまり、その人為的に作られた「魔法使い」、あるいはシュメルマンの絵本的に言うなら「魔法使いの力」を与えられた存在こそが「撃墜王」ということですね。
そのための、実験体となったのがナナのような身寄りのないストリートチルドレンで、唯一の成功例が7番目の「被験体」だったナナだったと言います。
ナナの部屋の山のようなぬいぐるみの中に、おそらく同じように被験体になり死んでいったストリートチルドレン達を模したぬいぐるが10体以上置かれていました。
こういう、間接的にグッとくるような描写ってずるいよなぁ笑
ちなみに、この後リヒトーが「撃墜王」手術に成功し、ナナとリヒトーに共通のDNAが手術成功の鍵だということが判明、計7人の「撃墜王」が生み出されるそうです。
そして、もともとバロットなしで「議会」の力を引き出せる人間が、バロットを使うことで掛け算のように力を何倍にも引き上げることができる。
ただ、こうなるとジェイルたち普通の(?)バロットホルダーとはそもそも力を得る機構自体が異なるわけですね。
「にぃにへのらぶれたー」
ナナと別れた後、ジェイルたちはナナに渡されたSDカードに入った動画ファイルから情報を得ます。
このファイルが、ナナの「にぃにへのらぶれたー」な訳で、それがまた切ないわけです…。
ともかく、このビデオレターによると、リヒトーは終戦の日に気を失い、以降20年間目を覚まさなかったようです。
その他このビデオレターで明かされたことは以下の通りです。
- 20年経って再会したリヒトー、そして他の「撃墜王」たちは全く年を取っていなかった。
- 「撃墜王」は何かに”ひどく後悔した時”に成長が止まる。
- 戦争から25年、ナナはリヒトーを連れて軍部から脱走、その際にバロットの複製品を国中にばらまいてしまう。
- 脱走から10年、全国民にカウントが義務付けられる。
- 脱走から50年経っても100年経っても、リヒトーは仮面を外さない。
- 脱走から200年、戦時中にリヒトーが持っていた太刀によく似たバロットを持つバロットホルダーに襲われ、撃退しバロットを手に入れる。
- バロットを取り戻して以降、少しずつだがリヒトーが喋るようになる。
リヒトーが喋るようになってナナはあることを決意します。それは
” リヒトーが仮面を外したら… およめさんにしてって… 言おうと思うの… “
” こんなおばさんだけどいいでしょ…? 200年も待ったんだもの… “
そのファイルは次に動画を撮るときにはおよめさんになれていることを期待する言葉で締められています。
そして、最後の動画ファイル
そして、リヒトーの成長を止めた「後悔」について語ります。
50年経っても100年経っても、リヒトーが仮面を外さないって時点でもうなんか辛い。
しかも途中で挟まれるナナの笑顔が、なおさら切なさを増します。
300年待った挙句自分も「共犯者」でリヒトーの仮面を外すことはできない…とか。ナナはもうちょっと報われてもいいのに…。
それにしても一気にいろいろと明らかになりました。
特に気になったのは、「後悔」が「撃墜王」の成長を止めるということ。そして、リヒトーの太刀に似たバロットを持って襲撃してきたバロットホルダーです。
「後悔」については次の項で書くとして、リヒトーたちを襲ったバロットホルダーの持っていたバロットは果たしてリヒトーのバロットに似たバロットだったのか、リヒトーのバロットそのものだったのか…。
もしリヒトーのバロットそのものであれば、「撃墜王のバロット」を軍が杜撰に管理しているはずもありませんし、200年経っていきなりバロットホルダーに襲われたことも、その人物が偶然リヒトーのバロットを持っていたことも出来すぎです。
だとすれば、その人物は「閃撃」の撃墜王の消息を掴むために軍が放った刺客と考えるのが妥当そうです。
現代でもリヒトーの消息を掴むためにシュメルマンが部下を放っていますしね。
一方で似ているだけの偽物であるならそれはそれでカウント数の違和感がなくなります。
現時点でリヒトーのバロットのカウントは5700で、10倍に増幅できるとは言っても、「伝説の撃墜王」のカウント数としては少なすぎる気がします。
いくらジェイルが強いとは言っても、互角以上に立ち回られてしまうレベルが、伝説とまでされる「閃撃」の撃墜王の真の実力だとは考えにくいです。
バロットホルダーを撃退し、その時から新たなバロットで0からカウントを始めたのであれば5700という数字も納得できます(逆に多すぎる気もしますが、そこはまあ100年以上ありますし…)。
まあ、どちらにせよこの襲撃者は軍の刺客という可能性が高そうですね。
リヒトーの後悔
さて、リヒトーの「後悔」についてですが、はっきりとは語られないもののどうやら戦争の最終日に関係があるようです。
もしかしたら、その「後悔」が原因でリヒトーは20年の眠りについていたのかもしれませんね。
目覚めたリヒトーは自分の眠っている間に起きたことを知り、300年の後悔の末一人で軍に戦いを挑むことを決めます。
終戦時はナナも能力の副作用で眠っており、リヒトーの口から聞くまでは何が起きたのか知らなかったようですが…。
終戦の日教官たちが「オリジナル」と呼ばれる7つのバロットを使い、「あまりにも残酷なこと」を可決したのだと言います。
詳しくは述べられていませんが、そのことは結果としてAクラスのみんなを見捨てることにもなったのだと。。
どうもその辺りがリヒトーの「後悔」につながっているみたいですね。
具体的な内容はまだ伏せられていますが、「アルシアに選ばれる」、「選ばれなかった人々からわずかな資源や食料を奪う」というのがどうやらキーフレーズになってきそうです。
つまり「アルシア」以外の場所があり、そこにも人が暮らし「議会」の力によって搾取を受けているということのようです。
「アルシア」以外の場所というのは「アビス」のことなのでしょうか??
どうも、教官たちは「議会」の力を使って、「人間の選別」を行ったようですね。
そして最後のビデオレターはリヒトーへではなく、陽菜たちへ送られたものでした。
「共犯者」である自分にはリヒトーの「後悔」を止めることはできないから、リヒトーが撃墜王になることを止めて「後悔」そのものをなくしてほしいと。
ビデオを見ている「リヒトーの仮面を外してくれた」誰かと、「リヒトーの悲しみを受け止めてくれた」誰かに願いを託しています。
本当、ナナが不憫でならない。
ところでナナが「共犯者」というのも気になりますが、「自分にはどうしてもできなかった」という理由も気になりますね。
ところで、戦争から20年経ってリヒトーが目覚めた際に、他の撃墜王もみんな成長が止まっていたということは、リヒトーだけでなく、他の5人の撃墜王も皆、同じ「後悔」を共有しているということなのでしょうか…。
ちなみに、ナナは「国民へのカウントの義務化」や「空を飛ぶ研究の禁止」の理由に言及しかけますが、その時アラン大尉が介入してきます。
次号、アラン大尉との衝突は必至!!
というかそれ以上に、これは未来がだいぶ変わってしまうんじゃないかと、心配なんですが。。
300年越しの約束
ちなみに今回の見所は様々な核心が明らかになったことだけでなく…
ジェイル中尉がとてつもなく男前な行動で魅せてきました。
過去のナナと接触した際のことです。
被験体として、一人隔離されていたナナにジェイルは“子供は一人でいるべきではない”と手を差しのべます。
しかし、その手をとれば未来が変わりすぎると、ナナは気持ちを押し殺して拒絶します。
踵を返し、ナナの部屋を出るジェイルでしたが、その際..
ナナに300年後に気がすむまで遊んでやると約束をし、去っていく。
かっこよすぎるだろ〜笑
ここがナナにとって、唯一の救いだったかな〜。
とりあえず、今回は全体的にナナがかわいそうすぎました。
特に”およめさんになれたら”からの”あれから100年…”はきつすぎる。
ただ、陽菜とジェイルという希望が出来たことは良かったですね。ナナ自身が救いになれなかったのは悲しいところですが…。
果たして、過去を変えることはできるのでしょうか。。
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『プランダラ』レビュー記事
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