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『プランダラ』著:水無月すう
『プランダラ』レビューリンク
第26話「ボクのカウントは」感想
今回はついにリヒトーのバロットが何をカウントしていたのかが明らかになりました。
まさかそんなだったとは…。もう、辛いだけじゃないか。
そして、過去編も終わりに近づき、陽菜達は現代へともどることになります。
とりあえず、前回のいわゆる「ヒーロー到来の高鳴り」的な明るい展開とは全く異なる「どうしようもなく辛く切ない」展開でしたが、今回もなかなか激動の展開でした。
では、少し見てみましょう。
敵には敵の道理がある…。
まずは敵ですが、この隊長、ただの下衆かと思いきや、なかなか骨のあるかっこいい男でした。
とはいえ、リヒトーにとっては良い出会いだったのか悪い出会いだったのか…。
とりあえず、リヒトーにほぼ無力化された敵軍でしたが、なんといきなりこの隊長、核爆弾を校内に仕掛けたと宣言します。

起爆装置は誰が持っているかわからず、唯一の防ぐ方法は「スイッチを押す間もない程一瞬で全員を切り殺すこと」だけ。
「殺さない軍隊」のリヒトーにとっては絶望とも言える究極の選択です。
敵を殺さなければ仲間が皆死に、仲間を助けるためには敵を皆殺しにしなくてはならない。
そして、さらに追い討ちをかけるように敵隊長の身の上話が炸裂します。
彼らが敵を殺せば、その分家族に食料が回るのだと。。
敵には敵の道理があるわけです。
それにしても同じ年頃の子供とか…設定はありきたりの王道中の王道ですが、やはり身の上話とかは反則ですよね〜。
仮に敵を殺さなかったとして、その後敵とその家族がどうなるのか…。
” 飢えに殺されるだけさ… じわじわ… 嬲られるようにな…! “

苦悩の末リヒトーは敵全員の首を刎ねる事になります。
実際は核なんて全て作り話で、リヒトーが戦争で生き抜けるように戦争の厳しさ(?)を教えるのが目的だったみたいです。
最期に「何としてもこの戦争を生きのびろ」と、リヒトーに言い残して死にます。
ただ、結局はこの隊長、彼の物差しでリヒトーを測って、このままでは生き抜けないと判断したわけで、人知を超えた力を得たリヒトーに対してその判断がどこまで妥当なものだったのか…。
少なくとももしかすればリヒトーの力をもってすれば可能だったかもしれない「殺さない軍隊」への可能性を早々に断ち切ってしまったわけですね。
そして、殺戮の化身「伝説の撃墜王」が生まれる原因となってしまったともいえるわけです。
リヒトーのカウント…。
みんなのために、敵を皆殺しにしたリヒトーは、みんなの前では平静を装いますが、影で一人苦悩します。
ただ一人リヒトーが平気ではないことを見抜いた陽菜がリヒトーの後をつけて、見たものは人を殺したという事実に一人嘔吐し泣き叫ぶリヒトーの姿でした。
なんとかリヒトーを救おうとする陽菜でしたが、陽菜が何もできないうちにリヒトーは“あの結論”にたどり着いてしまいます。

” ボクで… よかったんだ”
” ボクが一人でー 敵を…全て殺せば…!! “
そもそも、敵を皆殺しにした時も、自分の代わりに敵を殺そうとした時風を制する形でしたしね…。
そして、リヒトーは覚悟を決めます。

過去を変えてリヒトーを救おうとした陽菜でしたが、リヒトーの姿を見て最初から変えることなんてできなかったのだと思い至ります。
” だってあれは… 後悔なんかじゃなくてー “
” この人の 覚悟だったのだから… “
もうなんか前回のみんな和気藹々のホワホワモードからこのシリアスすぎる展開。
ほんともう、切なすぎますよ。
というか、リヒトー優しすぎて泣けてきます。
それにしても、リヒトーのカウントの正体がついにわかりましたが、それだと逆にちょっと違和感がありますね。
つまり、リヒトーのバロットのカウントは5700ですから、伝説とまで言われた人物がたった5700人しか殺していないことになるわけですよ。まあ、5700人って言ってもかなりの数ですが…。
「殺意」に支配されるとか、これまでの「撃墜王」の描写からすると、どうも見劣りする数字な気がします。
しかも、リヒトーの設定の仕方だと、カウントがマイナスされることもなさそうですし…
やはり、今のリヒトーが持っているバロットと、戦時中にリヒトーが持っているバロットは別物なのでしょうか。
>第20話「ラブレター」参照
それからもう一点。25話のレビューでも書いたことなのですが…
リヒトーの「バロットによる能力」ってなんなのでしょう。
単行本3巻の時点でも少し、違和感を感じていたのですが…。
「閃撃」が刀のバロットによる能力でないのだとすれば、「みんなの代わりに敵を殺した数」のカウンターから得られた特殊能力は一体何になるのか…。
それにしても、人を殺してしまったリヒトーに対してシュメルマンはどう思ったのでしょうね。
未来への帰還。陽菜の決意。。
リヒトーが覚悟を決めた頃、陽菜たちに過去に滞在できるリミットが来てしまいます。
リヒトーの愚かなほどの優しさを改めて知った陽菜は、自分のリヒトーへの感情、つまりリヒトーのことを愛しているとはっきりと自覚します。

300年後でリヒトーを待つと、決して一人にはさせないと。
もうプロポーズじゃん。というかプロポーズをも超越してるわ。
陽菜ちゃんさすが、やるときはやる女。
最後まで諦めずに、リヒトーを救うことを考え続けてきただけのことはあります。
この陽菜の言葉で、リヒトーが幾分かでも救われてくれるといいんですが…。
そして、果たして、この陽菜との交流をリヒトーは覚えているのでしょうか。

少なくとも、すべてを自分一人で背負いこんだ過去と、たとえ一人でも自分の苦悩を知っている人間がいる今回では、本当にごく僅かかもしれませんが、リヒトーにとっては確かに違うもののはずです。
この後に続く殺戮の現実は変わらないかもしれませんが、リヒトーがシュメルマンの「殺意」にとらわれることについては何かしらの変化を期待してもいいのかな…。
ただ一方でリィンの方の片思いは終わってしまった感じですね。
「人を殺してしまった」リヒトーを迷うことなく追いかけて行った陽菜を見て、追いかけられなかったことで差を感じているようです。
ちなみに、個人的には消え際にジェイルが時風に別れを言っていたのが良かったです。
教官たちの決定「選民」。
さて、各々思うところありつつも、過去から現代へと戻ります。
ただ、来る時と違って、一瞬で戻るわけでなく、時間の流れの中を揺蕩う感じになった一行は、現代へと帰り着くまでの間に、ナナのファイルの続きを見ることにします。
消去したと見せて実は隠し持っていたのだとか…。しかも再生用の端末まで…。
ホント何者だよペレ軍曹。。
さて、その動画の中でナナが口にした「選民」という言葉。

Aクラスのみんなを犠牲にしてまで教官たちが推し進めた「選民」とは…。
第21話「露見」でのアラン大尉の言葉
” 俺たち年寄りが諦めてー お前らガキに回せば…… “
” せっかく議会があるんだ… そう可決すりゃあー… “
” ほとんどの大人は… それを選ばなかった… “
” この世界は… もう… 手遅れだ… “
などから、なんとなく予想されますね。
ともかく、「選民」の実態など、まだまだ新事実が明かされていきそうです。
さらに、最後にリヒトーが仮面に手を伸ばす描写がされていました。どうやら、リヒトーが仮面をつけることになった経緯などの明らかにされるみたいです。
少なくとも、次号も今回ばりにシリアス&鬱展開になることは確実かと思われます。
結果(未来)が決まってしまっている以上、救いはないのは確定だし…。もはや陽菜たちが関与できる状況でもないですからね。
何かしら救いがあるといいのですが…。
前回の「辛い未来が待ってるけど、みんながいれば大丈夫」的なホワホワな雰囲気はどこ行ったんだよ…。
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『プランダラ』レビュー記事
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