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『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱ 感想:『光の剣』デボラは王族!!?新たなる恩寵者の出現とヴィーシャの危機!!

2022年12月29日 - 幼女戦記
『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱ 感想:『光の剣』デボラは王族!!?新たなる恩寵者の出現とヴィーシャの危機!!

『幼女戦記』最新刊情報

『幼女戦記』最新第26巻

遂に帝国対ルーシー連邦の戦いの火蓋が切られる。先んじて東部戦線に派遣されていたターニャは前線の擾乱に徹する…と思いきや彼女が選択したのは、まさかのルーシー連邦首都、モスコー強襲!?そして、大陸の戦局を注視していた連合王国軍も徐々にその動きを活発化させる。帝国へのハラスメントを行うべく初陣を飾った「派遣義勇軍」。その中には、レガドニア協商連合アンソン・スー大佐の遺児、メアリー・スーの姿があり…?揺籃の時が、終わりを告げる。

『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱあらすじ紹介

『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱあらすじ紹介

・メアリー・スーによる『吟遊詩人』および第一○五航空魔道大隊 撃破を受け、帝国軍内部に動きが…。ローメール少将麾下の同じくエース・オブ・エースである『光の剣』デボラはその”正体”ゆえに本国から帰還命令が発行される。
・ルーシー連邦指導者 ジュカシヴァリの元に存在Xが現れ、その臆病さにつけ込み使徒とし、恩寵を与える。その恩寵を破れるのは”同等の奇跡をもってのみ”。
・ターニャはセレブリャコーフに持ち場を任せ、恩寵によって術式弾が通らなくなったクレムリンに手こずる第四中隊に合流。その場に覚えのある”妙なプレッシャー”を感じ、エレニウム九五式を発動させる。
・一方、セレブリャコーフは九五式の魔導反応を感じて出撃したドレイクと遭遇。ドレイクはサー・アイザック・ダスティン・ドレイクからの情報でセレブリャコーフを『白銀』だと誤認識するが…

内容&見どころ

・エース・オブ・エース 『光の剣』の正体が明かされる!!
・再び、存在Xが戦争に干渉。新たな恩寵持ちが出現!!
・ターニャが九五式をぶっ放してご機嫌!!?
・ドレイクとヴィーシャが交戦開始!!?

『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱは『コンプエース』2023年2月号に掲載されています。

『コンプエース』2023年2月号

『幼女戦記』第八十五章:親善訪問Ⅱ 感想

エース・オブ・エース”光の剣”が戦場を去る!!?

前々号(…だったかな?)で、帝国軍のエース・オブ・エースのトップである『吟遊詩人』が存在Xの恩寵を受けたメアリー・スーによって戦死しました。絶対的な存在を失ったことによって帝国軍には激震が走りし、前線にも大きな影響が生じます。

その一つが、同じくエース・オブ・エースの一人である『光の剣』デボラ・フォン・エーデルライヒ魔導中佐への本国帰還命令。南方大陸にてロメール少将の麾下で主席参謀として活躍していた彼女ですが、”とある事情”からこのような指令を中央司令部から受けるのでした。

デボラ自身も言うように、『吟遊詩人』の戦死に続いて 同じエース・オブ・エースである彼女が戦死した場合の帝国兵の士気低下を危惧しての司令部の差配という面もあるのかもしれませんが、その指令の本当の理由は別にあります。彼女の南方大陸派遣軍団からの解任を受けて、急変したデボラに対するロメール少将の態度からデボラの素性が明らかになります(今回初めて明かされた…ということで良かったよね?)。実はデボラの真の素性は…

なんと 帝国の帝室の一員、つまりお姫様だったのです。『吟遊詩人』という帝国の強さの象徴とも言える存在を喪失したことより、戦況の不利化を危惧した司令部は王族であるデボラを前線から引き下げ、安全圏に保護する判断をしたわけですね。当然、王族の死に比べれば、エース・オブ・エースの前線離脱の方がまだ帝国にとっての打撃は小さいでしょうが…。

メアリー・スーの覚醒に続き、今回連合側に新たな恩寵がもたらされた状況下で、帝国陣営の戦力低下はなかなか厳しいことになってきそうですね。

ちなみに、『幼女戦記』がその世界観には第一次世界大戦時を、”帝国”にはドイツ帝国をモデルにしていることは知られていますが、史実ではドイツ帝国は第一次世界大戦での敗北を受けて起きたドイツ革命によって1918年に倒されます。最後の皇帝であるヴィルヘルム2世には、7人の子女がいましたが そのうち唯一の娘であったヴィクトリア・ルイーゼがデボラのモデルなのかな?

帝政崩壊後、ヴィルヘルム2世はオランダに亡命し、ヴィクトリア・ルイーゼに関しては兄弟の中でも一番長生き(1980年没)したそうです。『幼女戦記』の帝国が必ずしも史実上のドイツ帝国と似た境遇を辿るとは限りませんが、果たしてデボラの運命はどうなるんでしょうね。

存在Xの干渉。新たな恩寵持ちが出現!!?

一方で、連合側の視点では、前号での あのやばいキャラの際と似たような導入から、ルーシア連邦のトップであるジュガシヴァリが紹介されました。

ジュガシヴィリがどのようにしてルーシー連邦の実権を握るに至ったのかの説明は、本編に任せるとして…。ジュガシヴィリは、典型的な利己主義の小心者で狡猾さと計算高さを持っているといった人物です。小心者で臆病だからこそ、己の器以上の成功(?)を手に入れることができたというタイプのキャラクターですね。

そして、そんなジュガシヴァリの元に存在Xが現れるのです。戦況としてはターニャたち二○三魔導大隊がまさにルーシー連邦の首都を襲撃せんとするその直前。ジュガシヴィリの臆病さに漬け込み、その不安を極限まで膨らませたのち、彼を”信仰の伝搬者”とした存在X。相変わらずなかなかに最低な性格でしたね。

特に”パイ”のくだりは、人間以上に人間らしい、その絶対的な利己的さ加減は不快さすら孕みます。そもそも、信仰を得るためだけに一方に力を与えて戦争に干渉している時点で苛立ちは半端ないですが…。そういう意味では、”存在X”という存在は作品としてなかなかに便利な仕掛けですね。

さらに恩寵を与えて干渉した割に、あくまで加担した側の人間さえ信仰のための駒としてしか見ていないのが、今回の件で改めてよくわかります(まあ、そもそも存在Xは高位の存在なので、人間と同じものさしで測るべきではないのでしょうけどね)。というのも、今回存在Xがジュガシヴァリに与えた恩寵は…

“汝の巣穴にヤイバや銃弾は届かない 炎は巣穴を避け 策謀は暴かれる”

というもの。そして、気になるのはその後の言葉です。

“これを破れるのは同等の奇跡を以ってのみ”

ジュガシヴィリの受けた恩寵は同じく神の奇跡でもないと破れないものということですが、逆に言えばその奇跡さえあれば破れるものということです。そして、その上で “西を恐れよ…”と警告を残します。

ルーシー連邦の”西”というと帝国。そして、”同等の奇跡”を持つものはターニャ。つまり、存在Xはターニャの侵攻を分かった上で、彼女が奇跡を使いさえすれば破れる恩寵をシュガシヴァリに与えたというわけです。実際、存在Xと似たプレッシャーを感じたターニャは迷うことなく九五式をぶっ放して、恩寵による首都の結界防壁をぶち抜いています。

ターニャに奇跡(レニウム九五式)を使わせるか、あるいは彼女が使わなければ、恩寵による戦勝によってシュガシヴァリが信仰に目覚める。どちらに転んでも存在Xには特になるということか。なんて利己的でいやらしい奸計でしょう。

ところで、この存在Xはターニャに接触してくるのとはまた別の存在Xなのだろうか? 本人が、”我ら”という一人称を使っているのですが、仮にあの存在Xと異なる場合、存在X同士の立ち位置というか関係性はどうなっているのかなァ。

ヴィーシャがドレイクと会敵。

それにしても、最近ますますターニャとヴィーシャのイチャイチャが加速していますね。ヴィーシャは大隊メンバーに”主人を見送る良妻のよう”だと茶化されているほどです。

そんな、いよいよもってターニャに心酔しているヴィーシャですが、今回は戦場を任されます。そして、ターニャが一時離脱した第一中隊は、九五式の膨大な魔導反応を感知し出撃したドレイクの隊と会敵することになります。ターニャから隊を任されたヴィーシャは、その信頼に応えるために 強敵であるドレイクに向かっていくことになりますが…果たして。

ヴィーシャもターニャの元、数々の厳しい戦場を生き抜いている今や歴戦の魔道士ですが、やはりドレイクはあのサー・アイザック・ダスティン・ドレイクの血族ですから…ね。ターニャが離脱している間にヴィーシャの身に危機が迫るこの展開、最悪のケースにならないことを願うばかりです。

ちなみに、ヴィーシャ率いる第一中隊に遭遇する直前にドレイクは叔父であるサー・アイザック・ダスティン・ドレイクとの無線連絡で先ほどの魔導反応が『白銀』のものであることを知らされます。さらに、彼が叔父から伝え聞いた『白銀』の情報はその力が『吟遊詩人』にも遜色ないということと、”少女”であるということ。

つまり、ドレイクは現在ヴィーシャを『白銀』だと勘違いしている状況です。ドレイクにとっては『白銀』は叔父の軍人生命を奪った因縁の敵です。そもそも地力が上手のドレイクが、一切の油断もなく正面から襲いかかってくるとなるわけで、ヴィーシャにとってはかなり厳しい戦いになりそうですね。


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